○松之山町ブナ条例
平成8年6月26日
松之山町条例第24号
太古の時代よりわたくしたちは、ブナをはじめとする広葉樹林が生み出す有形、無形の生産物やその恩恵にあずかりながら生活してきた。
しかし、近代化の進展と共に広葉樹林を針葉樹林に替える植林が行われるようになり、広葉樹林のその美しい姿が消えつつある。それに伴い、山崩れや水源かん養力の衰退、鳥獣や小動物の生活範囲の狭小化など様々な悪影響が顕在化してきている。
わたくしたちはここに、ブナを代表とする広葉樹林が生態系や国土保全に担っている役割を十分に理解しながら、町内に原生している広葉樹林を後世に残し、人々に憩いと安らぎの場を提供するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、ブナに代表される広葉樹林が国土や生態系の保全に対し重要な役割を担う中で、美しい農山村景観を形成し人々に憩いと安らぎの場を与えていることを認識し、町・町民等が一体となってその保護・育成に努めると共に、生産・観光資源として有効活用を図ることにより、より豊かなふるさとづくりに資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ブナ林」とは、天然林・人工林を問わず、ブナ及びその他の広葉樹が一体となって群生している区域とする。
(町の責務)
第3条 町はブナ林の保護・育成及び活用を図るため、必要な施策を推進しなければならない。
2 町は、ブナ林の保護と活用について、町民及び滞在者、旅行者の理解と協力を得られるよう努めるものとする。
(町民及び事業者の責務)
第4条 町民及び事業者は、ブナ林の保護及び活用を図るため、町の施策に協力しなければならない。
(所有者の責務)
第5条 ブナ林の所有者及び利用者(以下「所有者等」という。)は、ブナ林が貴重な資源であることを認識し、自ら進んでブナ林の保護と活用に努めると共に、町の施策に協力しなければならない。
(保護区域の指定)
第6条 町長は、ブナ林の状況を総合的に勘案し、次のいずれかに該当するもののうち、保護する必要があると認めた区域(以下「保護区域」という。)を指定することができる。
(1) 天然林及び人工林を問わず、すぐれたブナ林を形成している区域で、その面積が規則で定める面積以上のもの。
(2) 樹木の種類若しくはその状態が特異であり、それらとそれを含む周囲の区域が一体となって自然環境を形成している区域で、その面積が規則で定める面積以上のもの。
2 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域は、保護区域に含まれないものとする。
3 保護区域の指定は、あらかじめ保護区域内のブナ林の所有者等及び町議会の意見を聞いて行うものとする。
4 町長は、保護区域を指定しようとするときは、その旨を告示し、所有者等に通知しなければならない。
5 前2項の規定は、保護区域を変更する場合について準用する。
(保護区域内における行為の届出等)
第7条 保護区域内の所有者等が、次に掲げる行為をしょうとするときは、あらかじめ町長にその旨を届け出なければならない。
(1) 所有権の移転
(2) ブナ林の保育・管理目的を除く大竹の伐採
(3) 管理道を含む道路の建設
(4) その他工作物の設置
2 町長は、前項の規定による届出があった場合において、必要があると認めるときは、当該届出をした所有者に対して必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
(助成)
第8条 町は、ブナ林の保護及び活用を図るため、保護区域内の所有者等に対し、予算の範囲内において助成をすることができる。
(財源措置)
第9条 町は、この条例を施行するために必要な財源措置を講ずるものとする。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から起算して6ケ月を経過した日から施行するものとする。