○十日町市みんなの心をつなぐ手話言語条例

平成30年9月28日

条例第52号

言語はお互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。手話は、手指や体の動きを使って視覚的に表現する言語です。ろう者は、物事を考え、意思疎通を図り、社会活動に参加し、人間関係を育み、成長していくために手話を大切に育んできました。しかし、ろう者及び手話に対する周囲の人々の理解が乏しく、ろう者の尊厳が深く傷つけられてきた歴史の中で多くの不便や不安、地域での差別や疎外感を感じながら生活してきました。

十日町市に暮らす全ての人が互いに意思、感情、思考を伝達し合うことができる権利をより確かなものとするため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及等を推進することによって、全ての市民が心を通わせ、相互に人格と個性を尊重し合い、共生することのできる社会の実現を目指し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解と普及に対する基本理念を定め、総合的かつ計画的に施策を推進することで、手話を使用する市民が、手話により自立した日常生活を営み、社会参加をし、もって全ての市民が心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

2 この条例において「手話を必要とする人」とは、ろう者、難聴者、中途失聴者、言語機能障がい者、音声機能障がい者その他の障がいのため意思疎通を図ることに支障がある者及び音声言語による意思疎通に支障がない者を含む手話を必要とする全ての者をいう。

3 この条例において「手話」とは、日本手話及び手指日本語(日本語対応手話)をいう。

(基本理念)

第3条 手話に対する理解及び普及の促進は、手話を必要とする人の、手話により意思疎通を円滑に図る権利を尊重することを基本として行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、手話に対する市民理解と普及を進め、手話を必要とする人が様々な場面で手話による意思疎通を行うことができるよう必要な支援や施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、手話に対する理解を深め、地域で共に暮らす社会の一員として互いに尊重し合い、心を通わせ、市の施策等に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、手話に対する理解を深め、手話を必要とする人が利用しやすいサービスを提供するとともに、その事業活動を行うに当たっては、手話を必要とする人が働きやすい環境の整備に努めるものとする。

(施策の策定及び推進)

第7条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する障がい者のための施策に関する基本的な計画において、次の各号に掲げる施策について定め、推進するものとする。

(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策

(2) 市民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策

(3) 市民が意思疎通の手段として容易に手話を選択することができ、かつ、手話を使用しやすい環境を構築するための施策

(4) 手話通訳者の育成、拡充及び手話による意思疎通支援者のための施策

(5) 手話を必要とする人に対する緊急時及び災害時等における情報の提供及び意思疎通の支援のための施策

(6) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、前項に規定する施策の推進に当たっては、手話を必要とする人その他関係者の意見を聞く機会の確保に努めるものとする。

(財政措置)

第8条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 市は、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

十日町市みんなの心をつなぐ手話言語条例

平成30年9月28日 条例第52号

(平成30年9月28日施行)