インターネット上の人権侵害について
インターネットによる人権侵害の状況
簡単に情報を入手できるだけでなく、誰でも容易に情報を発信できるインターネットは便利な一方で、匿名での書込みや不特定多数に情報を伝えられるため、活用方法によっては深刻な人権侵害となることがあります。このようなインターネットを悪用した行為は年々増えており、他人への誹謗中傷や侮辱、無責任なうわさ、特定の個人のプライバシーに関する情報の無断掲示、差別的な書込み、インターネット上のいじめなど、人権やプライバシーの侵害につながる情報が流れるなどの問題が発生しています。
また、インターネット上にはたくさんの情報がありますが、すべてが正しい情報とは限りません。
誤った情報に惑わされないよう、情報の発信者一人ひとりがモラルと人権意識を高め、自らが発信する情報に責任を持つ姿勢が大切であるとともに、利用者もさまざまな情報に惑わされることなく主体的に読み解く能力(メディア・リテラシー)を高めることが求められています。
あなたの発信した情報が、知らず知らずのうちに誰かを傷つけているかもしれません。いったん掲載された情報は、発信者の意図に関わらず、さまざまなところに拡散されてしまう可能性があり、完全に削除することも困難です。発信しようとしている情報が本当に発信してよいものなのか、情報を発信する前にもう一度確認しましょう。
インターネットによる人権侵害を防ぐために
ネットには嘘や不確かな情報も
インターネットでは、自分の名前や顔を簡単には知られることなく発信することができます。
そのため、匿名性を悪用した人権侵害が発生しています。最近では、いじめなどの事件をきっかけに、インターネット上に、不確かな情報に基づき、その事件の関係者とされる人たちの個人情報を流す書き込みがされたり、誤った情報に基づいて全く関係のない人たちを誹謗中傷(根拠のない悪口や嫌がらせ)する書き込みがされたりしています。
インターネットの特性を理解して利用しよう
インターネットでは、一度掲示板などに書き込みを行ってしまうと、その内容がすぐに広まってしまいます。また、その書き込みをネット上から完全に消すことは容易ではありません。誹謗中傷や他人に知られたくない事実、個人情報などが不特定多数の人々の目にさらされ、そのような情報を書き込まれた人の尊厳を傷つけ、社会的評価を低下させてしまうなど、回復が困難な重大な損害をあたえる危険があります。
また、このような人権侵害は、名誉毀損等の罪に問われることもあります。
ネットの中にいるのは人と人
インターネットを利用するときも、直接人と接するときと同じようにルールやモラルを守り、相手の人権を尊重することが大事です。
お互いの顔は見えなくても、インターネットでつながった先にいるのは、心をもつ生身の人間であるということを忘れずにコミュニケーションをとりましょう。
インターネットは発信者が特定できないわけではありません。捜査機関等による発信者の特定は可能です。匿名の書き込みであっても、責任を持って行う必要があるということを覚えておきましょう。
<ポイント>
- 他人を誹謗中傷する内容を書き込まない
- 差別的な発言を書き込まない
- 安易にあいまいな情報を書き込まない
- 他人のプライバシーに関わる情報を書き込まない
- 書き込みが不特定多数の人に見られる可能性があるということを意識する
インターネット上で人権侵害があったとき(プロバイダなどに情報の削除依頼を)
インターネット上に自分の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりする情報が掲載されても、発信者がだれか被害者にはわからないため、被害を回復するのは困難です。掲示板やSNSであれば、被害者は、その運営者(管理人)に削除を求めることができます。さらに「プロバイダ責任制限法」という法律などにより、被害者は、プロバイダやサーバの管理・運営者など(以下「プロバイダ」と言います)に対し、人権侵害情報の発信者(掲示板やSNSなどに書き込んだ人)の情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼したりすることができるようになっています。
開示請求や削除依頼を行う際には、証拠として保存するために、メールや文書で行うとともに、誹謗中傷等にあたる書き込みや動画などが掲載されている掲示板のURLやアドレスを控え、該当する画面や動画は、保存しておきましょう。
ただし、削除依頼をしたことが公表されるタイプの掲示板では、削除依頼をしたことにより、書き込みなどの内容に再び注目が集まり、冷やかしやなりすましの書き込みが増え、結果的に被害が拡大してしまう恐れも考えられます。
また、掲示板によっては、削除依頼をした人の氏名やメールアドレスなどの個人情報が掲載されてしまう場合もあります。
削除を依頼するかどうかや、その際に個人情報を入力するかどうかは、これらのリスクについても考え、慎重に判断しましょう。
もし自分で対応することが不安なときは、法務省の人権擁護機関である全国の法務局・地方法務局およびその支局(以下「法務局」といいます)の相談窓口に相談しましょう。
被害者自らが削除を求めるのが困難なとき(法務省の人権擁護機関に相談)
被害者自らが削除を求めることが困難な場合は、法務局に相談してください。
法務局では、まず、プロバイダへの発信者情報の開示請求や人権侵害情報の削除依頼の方法について助言を行うなど、被害者自らが被害を回復・予防を図るための手助けをします。
また、このような手助けをしても被害者自らが被害の回復・予防を図ることが困難な場合や被害者からの削除依頼にプロバイダが応じないなどの場合は、法務局が、プロバイダへの削除の要請を行います。
法務局からの削除要請は、被害者からの被害申告を受けて、被害者が受けたインターネット上での人権侵害について法務局が調査を行い、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合などに行います。
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更新日:2024年08月01日