工夫がいっぱい雪国の家
屋根につもった雪をそのままにしておくと、雪の重みで戸や窓の開け閉めができなくなったり、最後には家がつぶれたりしてしまう危険性(きけんせい)があります。
そこで、これまでは人が屋根にのぼって雪をすてる「雪おろし」という作業をしてきました。雪おろしは体力を使うきつい作業です。最近では雪おろしをしなくてもいいように、工夫をこらした家がふえています。
雪がすべり落ちる「落雪式(らくせつしき)住宅(じゅうたく)」
「落雪式住宅」は屋根のかたむきを急にして、自然に雪が屋根からすべり落ちるようにした家です。
落雪式住宅はほとんどが3階だてになっています。1階はがんじょうなコンクリートでできていて、居間(リビング)は2階にあります。屋根雪が家のまわりにたくさん落ちると1階部分が雪でうまり室内に太陽の光が入らなくなるからです。
このため、1階は暗くてもあまりこまらない車庫や物置として使っています。落雪式住宅は昭和40年代中頃からふえ続けています。
太い柱と厚(あつ)いかべ
雪国の家はもともと雪の重みにたえられるようにがんじょうにつくられています。4寸角(よんすんかく)(約12センチ)の太さの柱を使ったり、柱の数をふやすなどの工夫がみられます。また壁(かべ)も雪のふらない地方よりも厚めにつくられています。
大雪でもだいじょうぶ「耐雪式(たいせつしき)住宅(じゅうたく)」
がんじょうな雪国の家をさらにがんじょうにしたのが耐雪式住宅です。柱や梁(はり)、壁(かべ)をがんじょうにして、3メートルまで積もった雪にたえられるようにしてあります。
耐雪式住宅にすることで、雪おろしの作業回数を減らすことができます。ただし、3メートルを超えると雪おろしが必要になります。
雪をとかす「融雪式(ゆうせつしき)住宅(じゅうたく)」
屋根をあたためて、雪をとかしてしまうのが「融雪式住宅」です。屋根をあたためるために、灯油(とうゆ)や太陽電池を使います。
灯油をつかう方法では、屋根のすぐ下に不凍液(ふとうえき)(こおらない液体)が通るパイプをしきつめて、そこに灯油であたためた温水を通すやり方です。
太陽電池をつかう方法では、電熱線を屋根のすぐ下にしきつめて、太陽電池などでつくられた電気で電熱線をあたためるやり方です。
1階の窓の雪がこい
1階の窓などをそのままにしておくと、ふってきた雪や、雪おろしで投げすてられた雪、屋根からすべり落ちてきた雪によって1階の窓ガラスがわれてしまう危険性(きけんせい)があります。
そこで、窓ガラスがわれないように、1階の窓の外に横板(よこいた)をならべます。これを雪囲(かこい)といいます。かんたんに板の取りつけ取り外しができるように、柱には金具が取りつけられています。
ただし、窓に板を取りつけると、どうしても建物の中が暗くなってしまうため、最近では1階をコンクリート製(せい)の車庫や物置(ものおき)にして、3階だてにする家がふえています。
植物への愛情「庭木の雪がこい」
雪の重みで庭木の枝や幹(みき)がおれてしまわないように、11月ごろになると木のぼうや板、わら縄(なわ)などを使って雪がこいをします。
さまざまな大きさの板やぼうを組み合わせて、大きいものから小さいものまでていねいにかこってあげます。きびしい冬をともに生きる植物への愛情です。
室内はあったか「二重のまどガラス」
雪国の冬は、まるで冷ぞう庫にとじこめられているようなものです。家の中を温かくたもつために、さまざまな工夫があります。窓ガラスを二重にするのもひとつの方法です。
二重の窓ガラスは、ガラスとガラスのあいだに空気の層(そう)をつくり、外の寒さが室内に入りこまないようしています。
このほかにも、気密性(きみつせい)住宅といって、温かい空気を外にのがさないために工夫した住宅もふえています。
雪国の車庫(しゃこ)はカマボコ型
雪国の車庫は、雪の重みにたえられるように、カマボコ型になっているものがあります。内部はがんじょうな鉄骨(てっこつ)のほねぐみになっていて、つもった雪は、屋根のてっぺんから左右にすべりおちるため、雪に押しつぶされることもありません。
このほかに、3階建ての家で、1階が車庫になっている「落雪式住宅(らくせつしきじゅうたく)」などがあります。
更新日:2021年04月01日